滲む体温

胸の奥の方で渦巻く痛みを

無くさぬようにそっと包んで

「この痛みがなきゃ、僕でいれない」

だけど、少し、吐き出させて欲しい

 

歪んでしまったせいで

心地よい場所や、はまる言葉も歪んでいるけど

僕にはきっとこのままがいい

辛くないとは、言わないけれど

 

堰を切って零れる、その時を待っている

 

きっと、涙で滲む体温が

僕の痛みを溶かしてしまうから

ほんの少しだけでいい

 

「僕はここに居なきゃいけない」

閉じた部屋で膝を抱えて

虚ろな目にたまに溢れる

涙からも逃げたくなるけど

 

こらえきれずに零れた涙の温度が

僕であるための大切な証を

少しずつ、少しずつ、溶かしてしまうけど

怯えた僕に滲む体温が

胸の奥の方から喉を押し上げて

今だけは、嗚咽すら暖かい