惰弱の勇

 

目を見開き、周りを見れば
光などとうに彼方と知る
慌てて追えば

己の惰気が育てた闇に阻まれて

また目を閉じる
 
「もうこれが最後じゃないのか?」
顔を上げた
 
足は震えて、歯の根は合わず

己の弱さをただただ恨んだ
「逃げ道はないか?」血眼だが
切り立つ崖か、深い谷か
 
挑んだことなど、後悔しつくした
あの光がもし虚構だとしても
切迫の果てに嗚咽を漏らして
ただただ戦うだけ
 
この抗いは正しくはない
でもおそらくは間違いじゃない
「逃げ道はないか?」血眼だが
それでも今が戦う時か
足は震えて立てやしないが
己の弱さと強さは知れた
逃げ道は絶った
愚かだろうが
どうせ散るなら、美しく砕けて消える