年末とそばの美味しい食べ方(今日のおかず「『罪(略)』/te'」)

 大晦日はそばを打って身内に振舞います。そばうちをはじめた去年からですが、意を決してそこそこ良さそうなそば粉を注文しました。色んな本やサイトよ読むと、良いそば粉のほうが作りやすいと書いてあります。今日か明日あたりに届く予定なので、一度家で試し打ちする予定です。

 ところで、そばの基本的な食べ方として、かけとざるがあります。もちろん両方美味しいんですが、それぞれ特徴がありますね。まずかけは、様々な種類の暖かい出汁に浸かった状態ででてきますが、この暖かい状態というのは、食事をする上でかなり重要な要素だと思います。基本的に、口に入れるにあたって、冷たいものより暖かいもの方が幸福感を得られるように感じます。また、今のような寒い時期は、直接的に体を温める効果もありますし、一石二鳥です。そばは、麺そのものの味もさることながら、つけ汁やかけ汁の影響も当然大きいです。かけそばに関しては、このかけ汁の影響が、ざるそばにとってのつけ汁よりも大きいように思います。直接汁を飲んだりするわけですし、暖かい分、舌で味を感じやすいわけです。また、暖かいほうが甘みも感じやすく、湯気などにより汁の香りを楽しむことが出来ます。

 次にざるですが、こちらもまた当然ながら美味しいわけです。ざるはかけと違って、冷たい場合が殆どですが、こちらはこちらで良さがあります。まずざるの最大の利点としては、そば本来の、麺そのものの香り、食感を堪能できるということでしょう。ざるは一般的に、濃い麺汁等につけて食べます。麺汁をつける量に関しては、様々な意見がありますが、自分が美味しいと思うだけつければいいと思います。そもそも、お店によって味も濃さも違いますので、これだけ!と決めてしまうのはナンセンスです。これに関しては、そばの香りをどう扱うかというところからきているわけですが、そばの香りを一番楽しめるのは何もつけずに食べることです。次点に塩で食べることでしょうか。塩で食べるというのは、あまりなじみが無いことかもしれませんが、個人的にはこの食べ方が一番好きです。何もつけずに食べても美味しいのがそばですが、やはり少し辛味気が欲しくなります。そこで塩がでてくるわけですが、この塩も美味しい塩でなくてはいけません。美味しい塩が無いのであれば、素直に麺汁につけて食べましょう。しかし、そこそこ美味しい塩が用意できれば、スーパーで打っているような乾麺等でも、そばの香りを十分に楽しむことができます。麺汁は、場合によってそばの味を損なう場合がありますが、塩に関しては、つけ過ぎ等がなければ、ほとんどの場合美味しさを引き立てるのみです。美味しい塩に関しては、個人的には粗塩や岩塩がお勧めですが、これらはスーパー等で高めの塩を買っておけばとりあえず間違いないと思います。

 かけは、暖かい出汁に浸かっているため、どうしても時間がたつにつれ、そばがゆるくなってきてしまいます。また、場合によっては暖かいことによって強くなる出汁の香りが、そばの香りを損なってしまう事もあります。

 ざるは、そばがゆるくなることはありませんが、時間経過によって水気が飛びすぎて、固まってくる場合があります(水をかけてあげると戻ります)。また、薬味の調節がかなりシビアです。わさびやねぎ、唐辛子などありますが、程よい量というのがその薬味の質や麺汁の味、濃さ等によっても大きく変わるためです。

 ところで、かけにもざるにも共通して言えることなのですが、殆どのお店では刻みねぎが付いてきます。かけには最初から入っている場合が多々あります。ねぎを入れる入れないでは、味が驚くほどに変わってしまいますので、最初から入っている場合、麺と出汁だけの味を味わうことは絶対に出来なくなります。ねぎを汁に入れて5秒後には全体の味が変わっていますので、ねぎが浮かんでいる周辺を避けても、味の変化は回避不可能です。初めて行くお店では、念のためねぎ等は別皿で出してもらうよう、注文の際にお願いしましょう。個人的に一番美味しいのは、何も入っていないかけです。具材や薬味は途中で入れて「一口目の新鮮さ」を、なるべく多く味わえるようにするのがお勧めです。ざるに関しては、汁に浸かってさえいなければ、そばの上に直接のりやねぎが乗せられていても、端から食べれば問題ありません。塩に関しては、テーブルに常備してあるお店は少ないですが、頼めば出してくれます。お店で使っている塩は殆どの場合ちゃんとしたものを使っているので、美味しく食べれます。

 まだ書けることは腐るほどありますが、長いのでこの辺でやめておきます。

 

楽観の深奥で燻る魔は、万人が宿す普遍的無意識の『罪』の残滓。/te'

 

 

立山